人材戦略

当社グループがパーパスを実現し、持続的な企業価値の向上と、社会価値の創出を同時に実現していくためには、マテリアリティとして掲げる「人的資本の強化とダイバーシティ&インクルージョン」に資する人材戦略の策定と実行が必要です。当社グループでは、パーパスやビジョンに対する共感をベースに、「組織」と「個人」のそれぞれに着目した施策によってこれを進めていきます。
組織の成果は、まずは従業員それぞれの能力に基づきますが、当社では事業遂行のため、各自のキャリアを通じて身につけてほしいスキルを明確にし、多様な人事施策によって個人の成長を図っていきます。
そして、従業員がスキルを伸長させることを通じて、パーパス実現に貢献し、多様な従業員が自律的に成長し活躍できる組織風土の醸成に取り組むことで、「組織の成果」と「個人の成長」の相乗効果を生み出していきます。

「組織」の成果の最大化

当社グループのパーパスを実現するためには、当社グループが社会に必要とされ続けなければなりません。
そのためには、JSW Group Value Creation Process(価値創造プロセス)を循環させ続け、持続的な企業価値の向上と社会価値の創出を同時に成し遂げることを継続していく必要があります。これらの”価値”を創出するには、“イノベーションを生み出し「価値」につなげることができる組織” の成長を図り、成果を最大化させる必要があると認識しています。そこで、当社グループの人員構成分析とエンゲージメントサーベイの結果を踏まえた各種施策や、組織風土改革プロジェクトにも取り組んでいます。

「個」の成長と活躍

“イノベーションを生み出し「価値」につなげることができる組織”の根底には、多様性を活かし、自律的に問題解決に挑戦する風土が必須だと考えています。風土を決定づける要因の中で最も重要なのは組織を構成する「個」の能力です。当社では「個」の能力として、職種や役職を問わず必要な基礎能力を“ポータブルスキル”と、業務を通じ身につけていく専門能力を“テクニカルスキル”を定義しています。
当社グループの人材戦略としては、「個」の成長と活躍への取り組みを重視しており、各スキルの伸長と、そのスキルを組織の成果につなげるため「採用」「配置」「育成」「評価」「処遇」の各段階にて連携した取り組みを行っています。

  • ポータブルスキル
  • テクニカルスキル
人材戦略全体像 人材戦略全体像

採用

当社パーパスの実現に貢献する人材が身につけるべきポータブルスキルとして、「多様性受容力」「課題創出力」「挑戦力」「自律的学習力」を定義しています。採用活動においてはこのポータブルスキルの資質を有する多様な人材を採用すべく、様々な取り組みを行っています。

・新卒学生の採用

全国各地の方々と幅広く接点を確保するため、対面とオンライン双方での採用活動を実施しています。
技術系人材の採用では当社の製造拠点で現場見学と面談を行い、文系人材の採用では営業職を中心とした若手社員との座談会の機会を設けるなどしています。さらに、インターンシップも取り入れており、仕事の体験をしていただくとともに、当社の職場環境や社風をより深く理解いただける機会として設けています。

・経験者の採用

今まで以上に多様性に富んだ多くの人材を継続して確保していくために、経験者の採用にも注力しています。事業を牽引する中核人材や高度な専門性を有する人材の確保に向けて処遇制度を新たに整えるなどしています。
また、一般的な選考ルートだけでなく、従業員からの紹介を通じたリファラル採用、当社から積極的にアプローチを行っていくスカウト型採用など、ダイレクトリクルーティングにも取り組むなど、多様な人材を採用すべく幅広い選考活動を展開しています。

育成

・階層別研修・自己啓発支援

新入社員から管理職に至るまでの各ステージに応じた階層別研修を行っています。加えて、自己啓発支援のため、オンライン学習プラットフォームを整備し、自身の求めるスキルを学習できる環境整備にも努めています。

・ミドル層の成長支援

エンゲージメントサーベイの結果から組織全体のパフォーマンスの底上げには、職場を牽引し、事業戦略遂行を主導するミドル層の、職場メンバーの「仕事のやりがい」や「挑戦意欲」を高めるスキルを伸長させることが重要と捉えています。
そこで、各職場のニーズを踏まえたミドル層向け教育コンテンツの企画によりミドル層の指導・育成スキル向上を支援することで、職場活性化につなげていきます。また、前例にとらわれず戦略達成を主導できる人材の育成を促進するため、将来の経営幹部登用を見据えた若手ハイパフォーマーの早期管理職昇格、重責ミッション付与、さらに社内公募やローテーションによる人材育成プログラムなどを積極的に実施しています。

・ITスキル教育

全従業員の担当業務や保有するITスキルに応じたレベル分けを行い、また、各レベルにて目標とする人数割合も設定していきます。その目標達成に向けて各従業員に適切な教育コンテンツを提供できる体系を策定することで、当社グループ全体としてのITリテラシー向上に向けて最大限の効果発揮を図ります。上記に加えて各部門にて業務とITの双方に精通し、業務のデジタル化を推進する部門リーダーの育成にも注力し、DX活動の具体的な成果創出を狙います。

・技術・技能伝承・公的資格取得の奨励と報奨金制度

「技能道場」(広島製作所)、「はがね塾」(日本製鋼所M&E(室蘭製作所))といった社内研修の場を設けており、代々の熟練技能者が受け継いできた技能を若手社員に伝え、「技術力」の素地を有する従業員の裾野を広げています。
また、公的資格取得の奨励と取得した際の報奨金制度、技能認定制度なども導入し、自律的な学びと成長の促進も行っています。

・グローバルビジネススキル

グローバルビジネススキルの習得に関する教育施策も実施しています。ここでは、英語を用いたネゴシエーションやプレゼンテーションなどのスキル向上に加えて、グローバルで通用する思考様式を習得する機会も設けています。加えて、業務に必要な基礎教育・専門教育、海外留学を含む語学教育、人材育成を企図する海外拠点を含めたローテーションも機動的に行い、当社事業の世界規模での展開を牽引する人材を育成しています。
今後は、成長戦略の立案・実行およびそれに必要な管理体制を構築する能力、M&Aに関する知見なども包含したマネジメントスキル習得の教育体系策定に着手していきます。

配置

「適材適所」の考え方を基本に、全ての従業員が持てる能力を発揮し、業務を通じて、特にテクニカルスキル(専門能力)の習得につなげられるよう、各々の適性・個性を踏まえつつ事業遂行に最適な配置を行っています。
加えて、2023年度は、新規業務にチャレンジすることで人材育成につなげることを企図した社内公募を特定部門で実施するなど、自律的なキャリア形成につながる取り組みにも着手しています。

各指標 2020
年度
2021
年度
2022
年度
1人当たり教育費(千円) 29.8 28.5 42.9
階層別研修受講者数(名) 285 277 266
階層別研修修了率(%) 98.6 98.9 98.1
国家技能検定新規取得者数(名) 47 111 100

研修制度

研修制度

評価・処遇

一般社員と管理職とで別個に整備しています。一般社員層では、職務遂行能力を重視した評価を行います。一般社員の中で上位資格となる係長級に昇格すると、求められる役割に応じた目標設定とその達成度合いを評価します。管理職層では、自ら事業目標に連動した課題解決と組織開発に関する目標設定を行い、達成に向けて自律的に業務に取り組んでいます。
管理職と係長の目標設定においては上席者とのコミュニケーションを必須としています。これにより、経営目標と各個人が設定する目標との連鎖を強固にし、全従業員が各々の能力を発揮し活躍することと、組織としての経営戦略達成との連動性を担保しています。
今後は目標設定における優先順位をより明確にし、これまで以上に中期経営計画達成に資する制度を目指していきます。

多様な人材の活躍

当社グループでは、多様な人材が活躍することによって、さまざまな考え方やアイデアを新たな付加価値につなげることが経営戦略実行に必要と認識しています。

ダイバーシティ&インクルージョン推進に向けた取り組み

経験者採用ではオンボーディング研修を実施し、新規採用した経験者の着実な定着・活躍を図っています。障がい者採用においては受け入れ部門に事前研修を行い、障がいに対する配慮事項への理解徹底などを行っています。また、女性特有の健康課題に関する教育コンテンツを展開し、各職場での理解支援に取り組んでいます。
当社では女性の従業員数、管理職数が共に少ないことが課題です。女性の管理職として、現在でも営業部門にて部長として、あるいは技術部門やコーポレート部門で課長として活躍する人たちがいますが、今後さらに女性リーダーを輩出するために、女性総合職の新規採用増とリテンション施策によって、管理職をめざす係長級の層を着実に厚くしていく一方、実力を備えた一般職からの登用や経験者採用の積極展開を図ります。あわせて、研修やネットワーク形成など、きめこまやかな支援策を講じます。

ワークライフバランスをサポートする制度等の整備

法定の育児休業・介護休業の制度を整備し、法改正に合わせて都度見直すことはもとより、在宅勤務や時差出勤、時間単位年休制度を導入して、育児・介護と仕事とを両立しやすい環境整備に努めています。
教育制度面では、意欲に応じてスキルアップできるように自己啓発をサポートする施策も順次進めています。

福利厚生

従業員の多様な価値観やニーズに対応するため、自身に必要な福利厚生メニューを自ら選択することができるカフェテリアプランを整えるなど、制度の充実も図っています。

各指標 2020
年度
2021
年度
2022
年度
総合職新卒女性採用比率(%)※1 10.0 15.0 15.6
係長級に占める女性比率(%) 7.8 8.7 10.2
育児休業取得者数(名) 11 16 34
障がい者雇用率(%)※2 1.90 2.21 2.46
  • ※1 総合職新卒女性採用比率は対象事業年度中に採用内定し次年度4月1日に入社した人数比率となります。
  • ※2 各年度6月1日時点

外国人の雇用推進

日本製鋼所では「グローバル採用」として、外国人留学生や長期海外在留経験を持つ方を毎年採用する活動を継続しております。
また、関連会社を含めたグループ全体では、当社駐在員/現地採用者などを含めて500名超が世界各地で雇用されています。
今後は外国籍人材の育成を強化しつつ、海外現地法人との人材交流も検討して参ります。

働き方改革

有給休暇取得日数の増加と時間外労働時間の削減に現在取り組んでいます。
柔軟な働き方(フレックスタイム制・勤務インターバル制度)について、今後検討して参ります。

女性活躍推進

結婚・出産などのライフイベントは、働き方に大きな影響を与えます。
当社では、そのようなライフイベントを大切にしながら、社員が長く働き続けることが出来るようにサポート体制を整えています。

  • 17
    直近3年の女性採用数

    総合職(事務系・技術系)のみの
    数字となります。

  • 8.5
    女性社員平均勤続年数
  • 100 %
    女性の育休取得率
  • 40.3 %
    男性の育休取得率
  • 100 %
    育休からの復帰率
    • 01 自己申告と2wayコミュニケーション

      自己申告制度を通じて、業務の適性や将来のキャリア形成について上司に相談できます。従業員の適性をふまえてキャリアアップが図れるよう支援しています。

      男性も取得可能な制度
    • 02 母体の保護

      妊娠中及び出産後1年以内の女性社員に対し、通院に必要な時間を勤務時間として認めたり、医師からの指導があった場合には出勤時間の変更や休憩時間の調整ができます。また原則として海外・国内を問わず出張は禁止としています。(※運用は社内規定に基づく)

    • 03 産前産後休暇

      産前産後を通じて計100日間の休暇を認めており、産前に6週間、産後に残日数を取得できます。

    • 04 子の出産特別休暇

      妻の出産時の付き添いや、入院中の世話、入退院の付き添いの際に取得できる制度となります。

      男性も取得可能な制度
    • 05 育児休業

      子どもが満1歳6ヶ月に達する日までの間、育児のために休業することができます。この制度は女性従業員に限らず、男性従業員も取得可能です。
      また、保育所に入所できないなど特別な事情がある場合には、社内規定に基づき満2歳に達するまでの間で取得可能です。

      男性も取得可能な制度
    • 06 子の看護休暇

      子どもが小学校入学までの間、負傷・疾病にかかった場合の世話や、予防接種、健康診断を受けるために必要な日数を、子の看護休暇として取得できます。(※運用は社内規定に基づく)

      男性も取得可能な制度
    • 07 時間短縮勤務
      /
      08 時間外労働の免除

      子どもが小学校を卒業するまで、時間短縮勤務を認めているほか、社内規定に基づいて時間外労働免除の措置も設けています。この制度は女性従業員に限らず、男性従業員も申請可能です。

      男性も取得可能な制度
    • 09 時間単位の有休取得制度

      付与された有給休暇日数の範囲内で、年間2日まで1時間単位の有給休暇を取得できる制度です。1時間だけ、3時間だけ、と取得可能ですので、通常の有給休暇よりも自分のスケジュールと仕事の両立がしやすくなっています。

      男性も取得可能な制度
    • 10 時差出勤制度
      /
      11 在宅勤務制度

      在宅勤務制度は会社に出勤することなく自宅で働く勤務形態を取ることのできる制度です。
      時差出勤制度は始業時間(7時~10時の間で選択可能)を変更して通勤時の混雑や密を避ける勤務形態を取ることができます。両制度共に本社のみとなります。

      男性も取得可能な制度
    • 12 配偶者転勤休職制度

      勤続年数3年以上の従業員であれば、その配偶者が国内・海外へ転勤を命じられた場合に最大3年間休職し、転勤先へ同行することができます。この制度は女性従業員に限らず、男性従業員も取得可能です。

      男性も取得可能な制度
    • 13 キャリアリターン(再雇用)登録制度

      勤続3年以上の従業員が結婚・出産・配偶者の転勤・育児・介護を理由に退職する場合、退職前に登録しておくことで、退職から3年以内であれば再度当社で働く事ができる制度です。この制度は女性従業員に限らず、男性従業員も取得可能です。

      男性も取得可能な制度

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