生活・家電
サーキュラーエコノミー社会の実現に貢献
2023.09.14
大量生産・大量消費の経済活動は、結果として大量の廃棄を生み、環境汚染のひとつの要因となっています。また、限りある資源を採取し続ければ、天然資源の枯渇や、生態系の破壊を引き起こしかねません。
そこで、大量生産・大量消費・大量廃棄といった「一方通行型」の経済ではなく、限りある資源の消費を抑え、かつ資源の効率的な利用を図る「循環型」の経済へ転換する取り組みが、世界各地で加速しています。これが「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」です。持続可能な社会の実現のため、企業も循環型経済への移行が求められています。
私たちJSWグループは、製品をつくる段階での資源の消費量削減と、廃棄物のリサイクルを通して、サーキュラーエコノミー社会の実現に取り組んでいます。
廃プラスチックを化学的に分解し、製品の原料などに再利用するリサイクル手法が「ケミカルリサイクル」です。分解の種類には、プラスチックの原料である油に戻す「油化」や、合成ガスを製造する「ガス化」などがあります。
当社は1990年代から、二軸押出機を利用したケミカルリサイクルに取り組んできました。その後も二軸押出機に廃プラスチックを投入し、熱を加えながら混合する手法の開発などを通し、さまざまな廃プラスチックをケミカルリサイクルする技術を開発しています。
代表的な例が、アクリル樹脂のケミカルリサイクルです。アクリル樹脂は合成樹脂の中でも極めて透明で加工もしやすいため、飛沫防止のパーテーションや水槽、液晶ディスプレイ、など幅広く利用されています。JSWグループのケミカルリサイクル技術を用いれば、使用済みアクリル樹脂から、アクリル樹脂の原料となるMMAモノマーを効率良く回収することが可能です。
マテリアル(Material)には、日本語で「原料」「材料」という意味があります。メカニカルリサイクルは、廃プラスチックをプラスチックのまま再利用し、新しい製品の「原料」とするリサイクル手法です。
メカニカルリサイクルされるプラスチックは、分別回収されたペットボトルなど、単一の素材であることが望ましいとされています。一方、家庭ゴミなど複数の素材が混ざり合ったものは、そのまま原料として再利用することが難しく、メカニカルリサイクルに適していません。
これを受け、近年は生活用品のパッケージなどを単一のプラスチック素材で製造する「モノマテリアル化」の取り組みが広がっています。JSWグループは、食品包装のモノマテリアル化推進のため、単一素材で構成された包装フィルムの製造および、製造技術の普及を進めています。
従来の食品包装フィルムは、それぞれの役割を持つ複数層で構成された「マルチマテリアル」のものが一般的でした。単一の素材で構成されるフィルムであればリサイクルの際の分離が不要となり、容易にメカニカルリサイクルが行えるようになるのです。
通常のプラスチックは自然界の環境によってはほぼ分解されないため、一度自然環境中に流出すると人の手を加えない限り半永久的に残り続けるという問題があります。
一方で生分解性プラスチックは自然環境中で微生物の働きにより、水と二酸化炭素に分解されるため、自然環境中に流出した場合でも自然環境に与える影響を最小限に抑えることが可能です。
この生分解性プラスチックに発泡成形技術を適用することで、発泡を行わない成形品よりも分解速度を速めることができます。一般的に発泡成形技術は、成形品の軽量化やソリ、ヒケ、バリといった成形不良の改善や寸法精度の向上を目的に用いられますが、環境負荷低減技術としても近年注目が高まっています。
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