製品・技術
NEDO「水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発」事業採択について
2016.10.13
本研究開発で取り上げるPower to Gasシステムでは、電力グリッドに接続された遠隔地の再生可能エネルギーの変動成分を模擬した電力で水電解して得られた水素と、工場、発電所、下水処理場等の排ガスから分離した二酸化炭素とを反応させてメタン(CH4)を製造します。得られたメタンはそのままガス発電機等の燃料としても利用できますが、熱量調整等を施せば既存の都市ガスグリッドを通じて広範に輸送・利用することが可能です。本Power to Gasシステムによって製造されたメタン・都市ガスは、①純国産であり、エネルギー自給率向上に役立つとともに国際市況に価格が影響されないこと、②メタン化時に回収するCO2量と消費時に放出されるCO2量とが等しく、カーボンニュートラルなプロセスであること、という点で、従来の輸入天然ガス由来のメタン・都市ガスに対して高い優位性を有します。また、本Power to Gasシステムで合成された都市ガスをオンサイトで水蒸気改質して水素を取り出せば、大規模な設備投資なしに水素のサプライチェーンを早期に構築可能です。最終的に、本システムの実用化によって、既存インフラを最大限活用しながら、わが国への再生可能エネルギー導入を促進し、エネルギーセキュリティ強化および低炭素社会化に大きく貢献できるものと期待しております。
本研究開発では、2016年10月から2017年9月までの1年間をかけて、水素-メタン-都市ガスPower to Gasシステムの実現性や導入効果について技術的・経済的な側面からの評価を行うとともに、実証試験設備の仕様や試験計画を策定する予定です。
なお、今回採択された研究開発結果は、2017年度上期に予定されているステージゲートにおいて、実証フェーズに進むのに必要十分かどうかを判断されます。ステージゲートを通過した場合、実フィールドにおける検証段階へ移行する運びとなっております。